公平性を軽視したMaicrosoftとそれに怒ったMozillaについて思うこと
2015/09/08
私の周りではWindows10の無償アップグレードの話題でもちきりだが、今日、次のようなニュースが目に留まった。
Mozilla CEO、Windows 10の既定ブラウザー変更について、マイクロソフト宛に怒りのオープンレターを公開 | TechCrunch Japan
「Windows 10のアップグレードで、以前からユーザーが選んでいたお気に入りウェブブラウザーの設定を実質的に上書きすることで、ユーザーの選択肢を奪うのを初めて見た時、われわれはこの問題を議論すべく貴社のチームに接触した。残念ながら意味のある進展が見られなかったため、このレターを書くに到った」とBeardは書いた。
ソフトウエアは、その性質上システムを基盤としてしか成り立たず、OSに依存せざるをえないわけだが、このニュースでシステムが公平性を無視した場合の恐ろしさを痛感した。
我々制作会社は、様々な技術の上に存在しているベンダーであり、規模は違えど今回のMozillaと同様、OS・ブラウザ・ネットワーク(通信網)に依存し成り立っている。
これらの基盤となるものが、一部の団体やグループだけに特化した仕様や制限を設けた場合、我々は ”それを選ばない”という自由選択権を行使するわけだが、事実上、選択の余地のないものが相手だったりすると、この願いは叶わない。
例えば、電車という公共交通機関において「いつもご利用ありがとうございます」というアナウンスに違和感をおぼえるのは、自らが好んでそれを選んでいるわけではない(選ばざるを得ない)という事実が存在するからだ。(これに違和感をおぼえるのは、そもそも私だけか!?という疑問を残したまま話を続ける)
今回のニュースは、上記の例でトレースすると「どうしてもJRが嫌いだ。」という人が、JRを使用しなくても生活できる土地に住み、仕事を選択し、生活していくための基盤を作るというのは事実上困難だということとシンクロする。
このシステムのアップデートによるデフォルトの上書きは、例に挙げた「アナウンスに違和感を覚える」などのレベルをはるかに超えた不公平性が詰っている。
すべての事柄は基盤の上に成り立っており、その上で展開されている商品やサービスは、基盤が公平に提供されているからビジネスとなっているわけで、そこに公平性がなければ様々なトラブルが発生する。
このような、不公平なOSアップデートが正当化されればMozillaはFirefoxOSの開発にも一層力を入れるのではなかろうか。
しかし、デスクトップPCにおける現在の世界規模のOSシェアを考えても、この選択に勝算は見出せない。だからこそ、このような実際を白昼に曝すことで、世論を味方につける広報手段に出たのかもしれない。
注目すべきは、この発信がGoogleでもAppleでもOperaSOFTでもなく、Mozillaであるということ。今後のMaicrosoftからの発表が楽しみなところである。
読了ありがとうございました。