「質は量のなかに在る」ことを知らない新人デザイナーの思考
2015/09/08
クオリティを追求し、時間をかけてWebデザインを創る新人デザイナーがいる。その新人は、自分のイメージが完全にアウトプットできるまで、細部にまでこだわって制作に没頭する。
そして完成したものを見直し手直しをはじめる。
独自の感性を持ち、自分のWebデザイン制作を作品としてこだわる若手デザイナーがいる。その若手は常に進化を求め、自分の作品を時間と共に進歩させるため制作に没頭する。
そして完成したものを見直し手直しをはじめる。
彼らは、品質が低いから自分にデザインの依頼が来ないと考えている。だからこそ、日々デザインチュートリアルをくり返し腕を磨く。
彼らは「質は量に勝る」と考えている。まったくそのとおり!その考えは間違っていない。
では、彼らが求めている「質」はどこにあるのか。1つのものに執着し、創りこむことで「質」は得られるのだろうか。
彼らは、そう信じているから時間をかけて「質」を問うのだろう。
「質は量のなかに在る」ということ
本当の「質」は「量」をこなすことでしか得られない。「質は量のなかにしか存在しない」のである。
自分のセンスやスキルを磨くのに、こだわりなどはいらない。
ただ単純に、自身からアウトプットできるものの数を増やすことに執着すればよい。
創りあげたモノの成功や失敗の判断などいらない。
それは自分自身の満足感であり、自分の感想でしかない。
そのときの自分の知識と感性と経験からイメージされたものが、そのときの自分の能力によってアウトプットされたものだと客観的に受け止めればよい。
何十、何百、何千と創ってはじめて、このデザインは「良いものだ」と選べるものが見出せる。
量を創ることは、実際は大変な苦労をともなう。
アタマの中の想像は「5コ、6コ」程度であれば何とかなるが、「20コ」それ以上になると突然浮かばなくなる。
それでも創らなければならないことに悩み、苦しむのが本来のデザイナーの仕事だ。
安易に自己満足の世界の「質」に逃げている新人・若手デザイナーに、「依頼したい」と願う顧客がいるとするならば、それはそのデザインではなく、それ以外の何かに魅力があるからだろう。
デザインで売るのかその何かで売るのかは、いちど考える価値があるかもしれない。
読了ありがとうございました。